お見事、ドイツのフィガロ
オペラ界には、「ドイツオペラのフィガロ」(モーツァルト)と「イタリアオペラのフィガロ」(ロッシーニ)の二人のフィガロがいて、同じキャラクター(歌詞はともにイタリア語)にもかかわらず、得意歌手が歴然と分かれている。そして、「ドイツのフィガロ歌い」ヘルマン・プライが、縄張りを破って「イタリアオペラのフィガロ」に挑戦したのがザルツブルク音楽祭。このディスクはそれを踏襲したミラノスカラ座公演の映画化である。プライの歌唱は、熱心なイタリアオペラファンには違和感が残るものだろう。しかし、その明るく温かみのある声はやはり魅力的で、他には変えがたいものがある。伯爵にあまり位負けしない、友人めいたイメージになっているのが面白い。ルイジ・アルヴァの伯爵、テレサ・ベルガンサのロジーナは十八番中の十八番だけに完璧で、特にベルガンサはやや容色の老け込みが早かった人だけに、若き日の美貌と魅力をぎりぎりのところで記録したこの映画は貴重である。二人のバスも名唱。 ポネルの演出は例によって機知縦横で、ややわずらわしく感じる人もいるだろうが、楽しく見ることができた。アバドの指揮も後年の再録音などより遥かに締まりと輝きがあって文句なし。ただ、録音がこの時期にしては少し貧しい。音・絵別撮りのスタジオ収録なのにどうしたことだろうか。
舞台の方がより面白いけれど……。
81年のスカラ座初来日公演でも見ることが出来たポネルの演出をベースにして、スタジオで撮影したもの。ただ、実際の舞台の演出を殆どそのままスタジオに移行してしまったために、舞台ほどには効果が出ていない場面があったり、或いは、スタジオでは再現できなかった場面があるのが惜しい。ポネルの代表作でもあるこの演出は回り舞台を使用したもので、実際の舞台で見ると絶大な効果があったのだが……。
キャストは有名なアバドのDG旧盤CDとほぼ同じで、アバドの解釈もそのCDと大きな違いはなく、演奏の出来は申し分ない。唯一、オケ・合唱がスカラ座に変更されているが、お陰でオペラ的な興趣がやや増しているのは嬉しい限り。
ラストチャンス!
70年代の収録ということでお世辞にも画像はいいとはいえませんが、音はしっかりしています。舞台収録ではなく映像はセットで撮影されています。なので、初心者には内容がわかりやすいと思います。
ユニバーサル ミュージック クラシック
|