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北京烈烈―文化大革命とは何であったか (講談社学術文庫)
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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良書です
大躍進政策、文化大革命などは、30代の私にとって歴史上の出来事。しかし、矛盾をはらみながら経済成長を続ける現在の中国しか知らない世代にとってこそ、この本を読む価値があると感じる。この大国、そして国民が何時、何を、どのように体験してきたのか、ダイナミックな政治闘争を客観的にまとめることで、その背後に見え隠れする社会の動きが伝わってくる。著者自身の訪中体験(当時)など、様々な情報ソースから得られた時事情報をたくみに読み解き考察している。その思考過程を追うことで、中国の激動の歴史を体感できる。なぜ中国ビジネスは一筋縄では行かないのか。そんなことにすら示唆を与えてくれるように思う。
「密教的中国」の現実と勇気ある洞察
インターネットの普及等により情報流通の進展が著しい今日の中国ですが、リアルタイムでの政治状況の正確な把握は、それでも相当に困難です。改革開放前の時代に「竹のカーテン」の内奥を透視しようとすれば、その苦労は並大抵のものではなかった筈です。また、当時の日本における社会主義礼賛の風潮の下、中国の政治的激動に関する是々非々の情報発信には、様々な問題が付き纏ったようです。
そうした中、著者の中嶋教授は、アカデミックな中国観察者として多様なソースと中国社会に対する該博な知見を駆使し、文革の発動から終焉に至るまでの現実の動向を把握・咀嚼し、その歴史的・政治的意義をリアルタイムで堂々と発信し続けてきました。本書は、そうした十余年に亘る文革分析の軌跡であり、中国に対する洞察に関する教授の自信と勇気を示すものと言えます。
文革の10年間は、多くの人々を傷つけ、生活と発展を阻害したばかりでなく、社会意識や人間の心にも取り返しのつかない大きな傷跡を残すこととなりました。文革のそうした負の側面を指摘し続けてきた教授ですが、本書の結びでは「中国よ、今こそ文化大革命を」という論文の中で、ポスト毛沢東時代における中国の政治的・社会的な弛緩傾向に対して警鐘を鳴らしています。80年代初頭の文章ですが、恰も21世紀の中国が直面している問題を予見するかの如き観があります。
表層的な事象の観察を超え、歴史的・文化的なアプローチを通じて中国の本質に迫り、その「密教的」な現実と動向を洞察していくのは、日本だけが能くするところではないでしょうか。本書を読んで、そうした思いに気を強くする心地がしました。
嫌中・好中を超えた視点
毛沢東語録を手に造反有理と叫んだ者は、学生が中心であった。背後には毛沢東を中心とした権力闘争があった。携帯電話を手に愛顧無罪を叫んだものは何者であったか。背後に何があったか。 共産党の政治が旋回するときのアナロジーを本書から読み取るならば、今の中国は極めて歴史的瞬間にあるといえる。 ないのは本書のような冷静な視点からの報道か。好き嫌いの思い入れのない報道の新鮮さを感じた次第である。
講談社
文化大革命 (講談社現代新書) トウ小平 講談社学術文庫 中華人民共和国史 (岩波新書) 中国現代史―建国50年、検証と展望 (中公新書) 文化大革命十年史 (上) (岩波現代文庫―学術)
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