読むと血液サラサラになりそうな瑞々しいシナリオ本
第一話の、桃太郎のジョーク好きだな。「あ・うん」の「鶴亀、鶴亀」に匹敵する。
文楽を見ながらの四姉妹の反応でキャラクターの違いを表現するところとか、読んでて気持ちよかった。
新鮮な生野菜を食べるように読めるシナリオ本です。
漱石の「虞美人草」からの引用は、悪い意味でやや衒学的と思った。
「女は阿修羅だよ」の台詞も場違いっていうか、それほど女の怖さを描いた作品でもないだろうに、って思ってしまった。
ちなみに、ドラマの方は見てません。森田の映画版は観た。
普通の家族?
“思春期に入る前”この作品を読んでこう思いました。 向田作品の描く家族は「皆、普通なのに、どこか変だ」“思春期に入った頃”この作品を読み返して思いました。 向田作品の描く家族こそ「普通の家族だ」 “思春期を過ぎた今”改めて思います。 「普通の家族ってなんだろう?」 この作品を読む度、頭をよぎるのは次の言葉。 “家族は、皆が「家族であろう」とするからこそ、家族でいられる”
ある意味私も阿修羅、ただし、女性がいない所においてのみ
姉妹というものの関係を、じかに見てきた経験のない私には、以前ある女優が、自身の姉(同じく女優)との関係についてコメントした、「会って最初の一時間だけはすごく仲が良い」という言葉の意味がイマイチよくわからなかった。今回、この阿修羅のごとき四姉妹の物語を読んで、かのコメントの意味が理解できたような気がする。顔を合わせる度に、遠慮なく互いにチクチクあるいはグサリと繰り広げられる葛藤は決して終わることがない。いがみ合いながらも一方で、固く親姉妹の絆を守ろうとしているのだから、なおさら終わらないのである。 このドラマ脚本は、父親と姉妹それぞれの愛人(夫もしくは恋人)にまつわる出来事を描いている。70歳を過ぎるまで浮気を隠していた父を始め、家庭ある男との不倫をやめようとしない長女、夫が浮気をしているらしい相手の影に惑わされる次女、ストイック過ぎて売れ残りの三女、みそっかすだが明るさを装う四女。それぞれの愛人関係における真偽・善悪をめぐって、阿修羅同士の感情むき出しの葛藤が終始展開されている。とてもリアルに感じられて滑稽であり、今後ドラマの再放送が強く望まれるばかりだ。しかし、本当にどの程度リアルなのかは、彼女達のような阿修羅の中に入っていく勇気のない私が知ることは容易なことではない。ただ言えることは、これ程までに身内に執着できることは女が持つ長所であり、同時に短所だということである。 彼女達は、猜疑心・妬み・憎しみなどによって作り出された土俵の上で無用な葛藤をして、無用どころかそれを必要として生きているのであり、女とはこのようなものだと作者は教えているようにも思える。 葛藤する人々の画の枠の様に、ひっそりとだが確かに存在する《カモク》でやさしい父親が、「ピーナッツ」の主人公チャーリー・ブラウンのようなイメージに重なって見えるのは私だけなのだろうか。
はまってしまった。
昔から名前だけは知っていましたが、作品を読むきっかけになったのは、お正月にしていた特番のドラマの「向田邦子の恋文」を見たからです。山口智子が主演していたのですが、ドラマを見ていて、このモデルとなった女性の書いたものが読みたい!と思い、かなり探し回って(別に田舎に住んでいるわけではないのですが、本当に見つからなかった)数点の作品を読みました。放送作家であった向田さんの作品を小説に書き直しているのですが、世界観が素晴らしいのです。忘れてしまっている日本人の古きよき時代がそこにはあります。「思いでトランプ」や「蛇蝎のごとく」も有名ですが、なんといっても「かわうそ」でしょう。たいした事を書いているわけではなく、本当に日常の話ばかりなのですが、小さなドラマがあったり、感情の起伏を本当に丁寧に書いており、安定しているようで綱渡りしているような日々のバランスが蜘蛛の糸に支えられているような脆いものであろうという事を実感させられます。昔の話なんて辛気臭い、時代遅れだと思われる方もいるかもしれませんが、向田さんの作品は全国の主婦の皆さんや、壮年期のお父さんには是非読んでいただきたいです。「花の名前」という作品は典型的で、昔は花の名前を知っていることで夫に感心されたり、褒められたりした妻が、長年連れ添っていくうちに夫は変わってゆき、ある日「花の名前、それがどうした」と言われ、はっとする。…この機微が分かった方は、もう読むしかありません。
阿修羅の三面
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新潮社
あ・うん (文春文庫) 男どき女どき (新潮文庫) 父の詫び状 <新装版> (文春文庫) 冬の運動会 (新潮文庫) 眠る盃 (講談社文庫)
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